2010年 09月 12日
俵屋旅館 |
門をくぐると、そこには別世界が広がっており、
維新後にそこを訪れた、
伊藤博文や木戸孝允に、なったような気分になってしまった。
御池通から、
ほんの数十メートル入ったところに位置しいるにもかかわらず、
その喧騒が嘘のように消え去ってしまい、
俵屋旅館には、そんな魔力が潜んでいる。
玄関から案内され部屋に入ると、
ピンと張り詰めた空気感の中に、
落ち着きのある心地よさが、体の中を通り抜ける。
客室は8畳しかないが、けして狭く感じることもなく、
土間になっている広縁から見える庭が、室内空間と一体渾然となり、
その落ち着きの中に広がりを作り出している。
この落ち着きはどこから来るのか、
建築家として空間をロジカルに考える、悪癖が顔を出してしまう。
内法寸法の押さえが、絶妙な高さで決められている。
その高さは1m73cmチョイ、私の身長と同じ。
空間としての落ち着きは、すべてここからきている。
天井の高さは、和室としてはけして高くない2m30cmにもかかわらず、
内法寸法が抑えられているので、逆に天井が低く感じない。
つまり、天井は低く感じないが、
実際は低めに設定されているので、
包み込まれるような落ち着き感が作られている。
低く感じないが、その低さが落ち着きを作り出している。
言葉にすると簡単なようだが、
高さ関係をこのバランスで作るには、そう簡単な話はない。
私の泊まった部屋は、吉村順三が設計した本館の増築部分。
(吉村順三作品集のP193の写真
・・・・広縁は土間空間に変わっているが)
当時のプランとは、サニタリー周りも変わっている。
新館は、その吉村順三が本館増築の7年後に設計しており、
建築の本で見る室内写真は、ほとんどそちらになっている。
支配人の山口さんにお願いして、
その新館の宿泊室をみせてもらうことに。
部屋に入った瞬間、スーッと重心が上がった気が。
内法が、本館よりも高く設定されている。
おもわず山口さんに、
「この高さは新築当時から改築で変えたのですか」と伺うと、
この高さは、吉村順三の設計のままとのこと。
新館を設計する際に、先生(吉村順三)が、
「これからは外国の方も多く見えることになるので、少し高くしましょう」
とのことで、この寸法になったらしい。
高くしたことで、モダンな感覚を持った和室になってはいるが、
私が宿泊した本館増築部分のほうが、包まれた安心感がある。
吉村順三も、内法寸法を本館より数センチ上げることには、
かなり悩み検討を繰り返し、
その結果、新館の寸法にいきついたのだと思う。
新館も、この数十年の間に間取りの変更が繰り返され、
新築当時とは、ずいぶん違っている。
しかし、その空間の骨格(遺伝子)は間違いなく残っており、
それを、中村外二工務店をはじめとする職人さんたちが、
オーナーの感性を具現化しつつ、
今の時代のなかで生き生きとした空間にしている。
・・・・実は、内法の高さを低く直した部屋があるのだが、
ん~、やはりその部屋は、座して落ち着く部屋になっている。
空間における高さ設定は、これほど難しいものかと、
改めてつくずく思い知ってしまった。
そして、それが居心地よさに直結してくることになる。
維新後にそこを訪れた、
伊藤博文や木戸孝允に、なったような気分になってしまった。
御池通から、
ほんの数十メートル入ったところに位置しいるにもかかわらず、
その喧騒が嘘のように消え去ってしまい、
俵屋旅館には、そんな魔力が潜んでいる。
玄関から案内され部屋に入ると、
ピンと張り詰めた空気感の中に、
落ち着きのある心地よさが、体の中を通り抜ける。
客室は8畳しかないが、けして狭く感じることもなく、
土間になっている広縁から見える庭が、室内空間と一体渾然となり、
その落ち着きの中に広がりを作り出している。
この落ち着きはどこから来るのか、
建築家として空間をロジカルに考える、悪癖が顔を出してしまう。
内法寸法の押さえが、絶妙な高さで決められている。
その高さは1m73cmチョイ、私の身長と同じ。
空間としての落ち着きは、すべてここからきている。
天井の高さは、和室としてはけして高くない2m30cmにもかかわらず、
内法寸法が抑えられているので、逆に天井が低く感じない。
つまり、天井は低く感じないが、
実際は低めに設定されているので、
包み込まれるような落ち着き感が作られている。
低く感じないが、その低さが落ち着きを作り出している。
言葉にすると簡単なようだが、
高さ関係をこのバランスで作るには、そう簡単な話はない。
私の泊まった部屋は、吉村順三が設計した本館の増築部分。
(吉村順三作品集のP193の写真
・・・・広縁は土間空間に変わっているが)
当時のプランとは、サニタリー周りも変わっている。
新館は、その吉村順三が本館増築の7年後に設計しており、
建築の本で見る室内写真は、ほとんどそちらになっている。
支配人の山口さんにお願いして、
その新館の宿泊室をみせてもらうことに。
部屋に入った瞬間、スーッと重心が上がった気が。
内法が、本館よりも高く設定されている。
おもわず山口さんに、
「この高さは新築当時から改築で変えたのですか」と伺うと、
この高さは、吉村順三の設計のままとのこと。
新館を設計する際に、先生(吉村順三)が、
「これからは外国の方も多く見えることになるので、少し高くしましょう」
とのことで、この寸法になったらしい。
高くしたことで、モダンな感覚を持った和室になってはいるが、
私が宿泊した本館増築部分のほうが、包まれた安心感がある。
吉村順三も、内法寸法を本館より数センチ上げることには、
かなり悩み検討を繰り返し、
その結果、新館の寸法にいきついたのだと思う。
新館も、この数十年の間に間取りの変更が繰り返され、
新築当時とは、ずいぶん違っている。
しかし、その空間の骨格(遺伝子)は間違いなく残っており、
それを、中村外二工務店をはじめとする職人さんたちが、
オーナーの感性を具現化しつつ、
今の時代のなかで生き生きとした空間にしている。
・・・・実は、内法の高さを低く直した部屋があるのだが、
ん~、やはりその部屋は、座して落ち着く部屋になっている。
空間における高さ設定は、これほど難しいものかと、
改めてつくずく思い知ってしまった。
そして、それが居心地よさに直結してくることになる。
by bleis
| 2010-09-12 19:37
| 建築