2016年 01月 29日
さり気なく、危険を回避する手摺 |
住宅の階段にも、
踊り場に対して、 上がりの一段目が、手前に張り出しており、 その部分に於いて危険がないような手摺になっています。
手摺は楕円形の木の無垢材で作られており、 よって、コナー部分も無垢材を削り出して作っています。 削りだしもそうですが、取り付けに関しては、 非常に施工難度が高い手摺です。
この建物は、ウィーンのセセッション館です。
これは、踊り場に対して、下がりの一段目が入り込んでいます。 やはり、危険を避けるために、 手摺が踊り場側に、大きく張り出しています。
手摺は鉄筋の無垢材を曲げ加工しています。
建物はフランスのル・トロネ修道院ですが、 手摺はいつ頃取り付けられた物なのでしょうか・・・? 現在では、このような曲がり部分は、 直線部分と曲線部分を別々に搬入して、 現場溶接して一体にするのですが・・・。
螺旋階段のこの手摺、 円柱のボリュウムに対して、繊細で美しいですね。
写真手前の広い段板が、実は踊り場で、 そこの箇所で、手摺が切られていますが、 袖口を引っ掛けたり、 身体がぶつかったときの、危険回避のために、 先端がくるくると巻貝のように納められています。
実は手摺の切れた場所に、鉄の格子扉が閉まってきます。
もう一つ、 踊り場とその上の段の先端に白いテープが貼付けてあり、 踏み板の幅が変わる場所であることを、 視覚的に表示しています。
この建物は、ザルツブルグのレジデンスで、 歴代の大司教の住居でした。 モーツァルトもこの階段を使ったかもしれませんね。
建築基準法で手摺の取り付けが決められています。
建材メーカーが作っている既製品の手摺はありますが、
建築家であるいじょう、
人の手に触れる手摺は、きちっとデザインしたいものです。
ですので、様々な建築を見に行くと、
本能的に手摺には目がいってしまいます。
そして、カシャっと、シャッターをきってしまいます。
直線の手摺もさることながら、
曲がり箇所や、踊り場廻りの手摺は
様々な要素が絡み合ったデザインになるので、
そこの納め方には特に目がいってしまいます。
とにかく、職業病です。
by bleis
| 2016-01-29 17:45
| 建築