2016年 09月 11日
様々なスケール感覚 |
住宅の主要目的は、と問われれば、
家の中に数人の人が見えます。
人の身長から察して、 平屋の住宅にもかかわらず、2階建てのボリューム感があります。
室内の天井の高さは9フィート6インチ(約2m90㎝)です。 その高さで、サニタリースペース以外は全て通しています。
一段下がったテラスから建物の台座部分へ上がる階段です。
写真下部分が階段の最上段、 その最上段と目地で見切って台座部分となります。
また、建物のコーナ部分のディテールですが、 スチールのソリッド材を繊細に組み合わせて構成しています。
まずは、個人の暮らしを支える礎と言ってもよいかもしれません。
それは、暮らす上での雑多な諸機能を満足させると共に、
落ち着いて過ごせる内部空間が求められます。
それには、住宅の空間スケールとして、
ヒューマンスケールと言った考え方が必要になります。
しかしまた、建築(住宅)は、
ある場所、ある地域の一部分として存在する造形物とも言えます。
特に、ミースの設計したファンズワース邸を見た時には、
そのことを強く考えてしまいました。
住宅のスケール感にヒューマンスケールがあるとすれば、
その建物を外から見た時、
自然の一部として見る、
ネーチャースケールと言った見方も存在するようにも思います。
私の感覚では、全ての部屋の天井高さが2m90㎝と言うのは、
どうも、落ち着きが得られないと感じてしまいます。
しかし、この建築が、この自然の地に立つ美しい建築であることも、否めません。
実際、特に住宅建築のスケールの決定には、
このヒューマンスケールとネイチャースケールとのせめぎ合いが、
設計者の頭の中で、少なからず起こるものだと思います。
ディテールの構成にもスケール感が大切となり、
それらの積み重ねが、一つの建物のスケール感として表現されて行きます。
かれこれ30年以上も前になりますが、
勤めていた事務所の師匠の林寛治先生からは、
常に、このスケール感覚については厳しく指導されたのを、
今でも記憶として残っています。
そして今では、私からスタッフ達に、ことあるごとに指導しているつもりです。
by bleis
| 2016-09-11 16:43
| 建築