2016年 10月 12日
建物のファサード |
建築を設計する上で、外部(外観)の表情を何に求めるか、
5原則が具現化された、1931年完成のサヴォア邸です。
病棟のエントランス側のファサードです。 5原則のリボン窓が作られています。
病棟の庭側のファサードです。 こちらは、構造体の柱と梁を現すことで、ファサードの意匠としています。
そして、その病棟庭側のファサードに繋がる、 写真右側の休養テラスですが、リボン窓を形成しています。
住宅設計と言えども、常に考えてしまいます。
私が学生の頃は、モダンからポストモダンへとデザインの潮流が向いており、
現代建築の5原則を、サヴォア邸で具現化したコルビジェも、
批判の対象になっていたように記憶しています。
それでも、近代建築史やデザイン論を学ぶ学生にとっては、
この近代建築の5原則は無視することはできず、
構造と意匠の関係性を考える上で、重要な原則だったと今でも思っています。
ちなみに、近代建築の5原則・・・とは。
1.ピロティー
2.屋上庭園
3.自由な平面
4.水平連続窓
17年前に、フィンランドにアアルトの建築を見に行きました。
その際に見学したトルク近郊にあるパイミオのサナトリウムで、
この建物の外観を目にした時に、
そうです。
5原則のリボン窓によって構成されたファサードと、
構造体によって規定された開口部を持つファサード、
一見、この相反する二つが、一つの建物の中に表現されているではないですか。
一方は自由な立面、もう一方が構造によって規定された立面になっています。
この建物をアアルトが完成させた1933年は、
サヴォア邸が完成した2年後のこと。
それも、彼が近代建築の表現へと、大きく舵取りをした建物です。
しかしもう一方で、地球の裏側の日本では、
建築家の吉田鉄郎が、同じ1933年に東京中央郵便局を完成させいます。
この建物は、東京駅丸の内側に建つ、
今のJPキッテの下部ファサードに残っています。
この建物のファサードは、梁と柱でファサードが構成されており、
日本建築本来の形をコンクリート建築で表現したものでした。
そして、この建築を見た、ドイツの建築家ブルーノ・タウトは、
構造体と表皮(外壁)を、意匠上整合させたこの建築を、
近代建築として高く評価をしました。
構造体と切り離したことで、自由な立面を構成したリボン窓。
方や、柱と梁で規定された窓。
構造体から自由にすることと、構造体によって規定されること、
どちらにしても、
構造体と表皮(外壁面)の関係性の中に、ある種の規則性を持たせること、
それが近代と言う時代だったと、私は勝手に理解しています。
私が住宅を設計する時、近代建築うんぬんと、そこまでのことは考えませんが、
それでも、壁と窓の構成について考えながら、スケッチを繰り返しています。
by bleis
| 2016-10-12 12:11
| 建築